ハンディキャップ

 07, 2017 08:15
ケニー


1987年の映画『ケニー』を覚えていらっしゃいますか?
下半身を失ったままで生きる重度障害児として、
実在の人物ケニー・イースタディ本人が出演した映画です。

この映画は、当時小学生だった息子と二人で見に行きました。
ちょうど心身ともに最悪の時期でしたが、
障害にも負けず普通に生きようとするケニーの姿に胸を打たれ、
自らを反省。前向きになれた記憶があります。

なにが感動したって……。
映画は12歳のケニー本人が主演したという事実です。
しかも、その理由がスゴイです。
“ありのままの自分を視聴者に見せることで、
ハンディキャップを持つ人々を少しでも元気づけ、
障害者を社会の一員として認めさせたい”
そんな気持ちからだそうです。

誰からも教わることなく腕だけで上半身を支え、
腕で歩くことを憶えて、奇跡的な成長を続けたケニー。
通学や外出時は、周囲の人々を脅かさないようにと、
義足をつけて車椅子に乗ることもあったそうですが、
本音では自由が束縛される義足を嫌がり、
両手で動き回ることを好んだようです。

20代で結婚しましたが、うまいかずに離婚。
その後再婚して待望の娘を授かり、幸せに暮らしましたが、
2016年2月12日、42歳の若さでその生涯を終えました。
(医師から21歳くらいまでしか生きられないと言われていた)

何年生きたか、ではなく、
どう生きたか。


私にとっては、それを思い知らされた人物の一人でした。



で、20数年後、乙武洋匡著「五体不満足」が出版されました。
先天性四肢切断って、身体がほぼダルマ状態です。
それをさらりと…『五体満足』というタイトルにして、です。
ケニーの何倍もの過酷なハンディを背負ったにも関わらず、
乙武さんの精神性は驚くものでした。

「障害は不便です。しかし、不幸ではありません」
そんなメッセージによって大ベストセラーとなり、
2010年に「五体不満足」は、一般書籍の部数記録が
国内で第3位だったそうです。

また、初めて赤ちゃんに対面したときの、
母親の言葉に多くの人が感動しました。
『まぁ、かわいい赤ちゃん』 
彼女、そう言ったんですよねぇ。

もっとも、母と子の対面までにはエピソードがあったそうです。

この子を 見たら、ショックで母体が危ないと思った医師は、
黄疸が激しいと嘘をついて、1ヶ月間、面会させなかったそうです。

対面の日、前もって医師が母親に言いました。
子供に会えなかった理由は黄疸ではないこと。
体に少し異常があるということ。
しかも卒倒したときに備えて、ベットまで用意して……。

それにしても、乙武さんの母はスゴイですねぇ。
心の準備があったとしても、ダルマ状態のわが子を見て
『可愛い!』なんて、絶対に無理。
私なら卒倒したのでは? と思います。


乙武さんは2001年に結婚。
現在は8歳の長男、5歳の次男、1歳の長女を持つ3児の父。
文筆家、タレント、元NPO法人グリーンバード新宿代表、
元東京都教育委員、元教職員、元スポーツライターと、
多彩な才能を発揮してきましたが、
最近になってスキャンダルが発覚しました。

ショックでした。
5人の女性と浮気なんて、世間にはざらにある話ですが、
“(((ʘ ʘ;)))…ダルマ状態の彼が?”というショックです。

女性にもてる、って?
あの身体で妻以外の5人と交わる?
おぞましい光景かも?

ですが、そう思った瞬間……自分自身にゾッとしました。
浮気なんて珍しくもないのに、乙武さんに限って、
“おぞましい”と感じてしまった自分の中の偏見に気づき、
ダブルショックで落ち込みました。(´-﹏-`;)

奥さんとの間に3人の子供がいるわけですから、
セックスも健常者と同じ。
あたり前のことですよね。
それが 先天性四肢切断者の浮気だからといって、
“おぞましい”と感じるって、変ですよね。

よ~く、考え、自分の感情の原因に気づきました。

わたし、怒っていたんです。

なぜって、ケニーと同じように、乙武さんはもちろん、
彼の母や、妻になった女性も心から尊敬していたんです。
妻にとって、介助の必要な夫は、手のかかる4人目の子同然だったはず。
そのパートナーを裏切り、5人の女性と浮気。
しかも、自分は、もてると豪語していたようですから。


『天はニ物を与えず』ですねぇ。

聡明であるが故に自信家になり、
生命力が強すぎて精力をコントロールできず、
恩人にも匹敵するパートナーに、
愛想をつかされるなんて……。

おっと!(・。・)b ……。
五体満足な男なら、どうってこともないんですよ。
世の中、そんな男は掃いて捨てるほどいますから。
ですが、乙武さんとなると、衝撃過ぎます。
本人も認めた、このスキャンダルを知り、
多くの支持者や、ファンも、さぞ落胆したことでしょう。



しか~し……。
乙武さんの人生は、ここからが正念場だと思います。


母は早晩、老いて逝きます。
介助の人手は福祉に委ねるとして、
人としての信頼を取り戻せるか否か、ですよね。
今回のことで、心根に『感謝』の気持ちを刻印できたのか。
博識、聡明な彼の頭脳が、どんな未来設計を描いているのか。
長い目で見守り、応援していきたいものですね。

(*′☉.̫☉) えっ? 
怒って、ファン辞めるんじゃなかったの? って?

いえいえ……今回のスキャンダルを除けば、ですが、
彼の存在が、どんなに多くの身障者を励まし、
福祉社会に影響を与えたかは計り知れないでしょう?

今でこそ開き直って堂々としていますが、
有名人になるまでは気味悪がられ、どんなに偏見を受けたことでしょう。
人知れず、それら全てを乗り越えてきたんですよねぇ。
まっ、頑張っただけに自信過剰で生意気な感ですが、
そこはそれ、パーフェクトな人間はいませんし、(^_^ ;)
やっぱり、選ばれた、シンボリックな魂ですから……ネ!

しつこく弁護すれば……(^_^ ;)

すでに過去形か、現在進行形か知りませんが、
人間、誰でもダークな部分、あるでしょう?
解っちゃいるけど、止められないとか、
自責の念に駆られるとか。
消えてしまいたいとか‥‥。

ですが人は、本質的に、自分を好きでいたいものです。
早晩、反省し、前を向き、自分を褒めてやれる道を模索して
歩き始めるんですよね。



ハンディキャップを持って生まれた人を、
欧米では『選ばれた人』と表現しますよね。
確かに、高いハードルを選択した人々だと、私も思っています。
パラリンピックを観ていても、ですが、
彼等の存在なくして、誰も五体満足のありがたさを
知ることはないでしょうから……。


障がいを持つ母親のもとに生まれた息子は、
そのことを受け入れなければ先に進むことができません。
けれども、息子が培った強さは、
やがて『差別をしない』という優しさへと
つながっていくことと私は信じています。
     車いすの金メダリスト・土田和歌子




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