四十九日 その②

 15, 2015 13:00
霊体の『玉ちゃん』が怒ってた理由o(;△;)o ・


身内だけで四十九日の法要を行った。

母にまつわる思い出話のつもりで、私が口火を切った。

「女子に教育なんか必要ないって、
高校も行かせてくれんかったし。
ほんま、教育には全く関心のない母ちゃんやったなぁ……。
ほんで、姉ちゃんが怒って私に言ったやんか。
『爪に火ともすように600万円も貯めといて、
そがいなこと言うがか。
高校くらい私が行かせてやる!』って……。
けど、姉ちゃんに苦労かけるわけにはいかん思て、
定時制高校にしたんやけど。
今思うと、母ちゃんは反面教師そのものや。
ほんま、鍛えられて良かったなぁ、ってつくづく思うわ」

「えっ? 600万も貯金があったって、誰が言ったがや?」

驚いたように、兄が私を見た。

「美津子姉ちゃん……」

「えぇ? 私、そんなこと言うた覚えないで……」

次女の美津子が怪訝そうな顔をした。

「言ったやない。
私が中学2年のとき、校長と教頭がそろって家に来て、
優秀な子ですから高校くらいは進学させてやってください、って。
土下座してくれたのに、母ちゃんはけんもほろろで……。
そのこと手紙で姉ちゃんに書き送ったら、
さっき言ったみたいに啖呵きって……。
そのまんま、手紙に書いてあったやんか!」

「ちょっと待て! あの頃、家にそんな余裕なかったで。
俺が仕送りしとったけんどギリギリの生活で……。
なんでまた美津子は、そんなこと風子に言うたんや」

苦笑いしながら、兄が言った。

「なんで、て……私がかぁ? 
そんなこと、ぜんぜん覚えてないしなぁ……」

すぐ上の姉は、そのことを完全に忘れているようだった。

「うっそお! よく言うわ……えぇっ! 信じられへん。
私、何10年もそう思い込んでたんやでぇ。
母ちゃんは貪欲なんや、って……。
けど、だとしたら判ったわ。謎が解けた。
母ちゃん、怒ってたんや……。
そっかぁ、誤解され続けてたんやもんなぁ。そら怒るわ。
というのもな、母ちゃん、死ぬ前に私の出張先に来たんや。
そのとき……」

みんなが、一斉に私を見た。
内心、しまった、と思った。
だが、壁からダイビングされた理由がわかった嬉しさから、
つい、そのいきさつを喋ってしまった。


身内の誰もが、
最後まで小馬鹿にしたような顔で聞いていた。


やっぱりなぁ……。
けど、玉ちゃん、ありがとう。
こうやって皆が集まったときに、誤解が解けることも知ってたんや。
あのとき、目が物語ってたもんなぁ。
いいよ、美津子姉ちゃんにはちょっと腹立つけど、
信じてもらえなくてもいい。
ただ、この瞬間を玉ちゃんが見ててさえいてくれれば……。
それにしてもゴメンなぁ。
ず~と、玉ちゃんのこと恨んでた。
神秘体験で、玉ちゃんを親に選んだのは
自分だって知ったからいいようなものの。
ほんま、堪忍なぁ……。

そう思ったものの、その場に母の霊体を感じることはなかった。


四十九日とは、よく言ったものだ。
『エジプトの死者の書』によれば、
四十九日が過ぎると、死者の魂は
現世を離れてアストラル界に旅立つ。
執着や未練が浄化され、
光の世界に戻るそうだ。

四十九日を境に、
母は、もっとも愛しい人になった。
私のハングリー精神を鍛える土壌となり、
向上心を芽生えさせ、
旅立つ前には、
思い込みの危険さえ知らしめてくれた。

“尊さ”の真実とはなにか……。
私は母との関わりの中で、それを学んだ。


霊体(メンタル体)になった母だが、
触れば肉体の感覚があったことは新鮮だった。
映画『ゴースト』のやんちゃで楽しい霊媒師も、
見えたわけだから、触れたのだろうと、
私は思っている。

元大阪大学の関教授によると、
念波天文学の時代がくれば、
幽霊の実態も解明できるという。
念波とは、超微粒子よりもさらに小さい
幽子の集合体だという。
そう、幽霊の幽子だ。

私はBS3の『コズミックフロント』をよく見るが、
最近、それらしき物質が発見され、
ひとり、ほくそ笑んだりしている。

もっとも、宇宙物理学は、
まだ『机上の仮説』にすぎない。
ホーキング博士でさえ、自らの理論が
否定されるであろう近未来を予測している。



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