UFO

 14, 2015 17:20
σ(◎◎;)ふつうのオバちゃんもUFO見た

生後6ヶ月の息子を寝かしつけ、
買い物から帰る途中のことだった。

久しぶりに晴れた空を眺めながら歩いていると、
如としてUFOが目に飛び込んできた。
直線距離にして1.5㎞ほど先の上空で、
その高さは背後に広がる生駒山より低く見えた。

それは漫画などで見かける典型的な円盤で、
雲のような白っぽい色をしていた。

そばに2列に並んだ八機の発光体が浮かび、
その動きの異様さに目を奪われた。

一瞬で消え、場所を変えて出現しては
小刻みに振動しながら飛行を繰り返す。
人の目で追えないスビードにも関わらず、
編隊を乱すことがないのだ。
それはまさに瞬間移動を実感するもので、
ただ、唖然としたまま立ちすくんでいた。

「お、おたくにも見えてます?」 

ふいに男の声がした。並んで歩いていたのだろう、
見知らぬ男がおずおずと聞いてきた。
(証人だ。嬉しい!これで誰かに話せる) 

「ええ、確かに……。UFOですかね」

「……ですよね!」

それが幻覚ではないことを確かめ合ったとたん、
男はいきなり走り出して近くの団地に消えた。
カメラを取りに行ったに違いない。

ワクワクしながら彼が戻るのを待った。
しかし、母船のような円盤が動き始め、
オレンジ色の発光体が後を追いはじめた。

直後、UFO群はスピードを上げ、
長吉町の上空で墜落するかのように消えた。
瞬間的ではなく、すう~と、流れるように……。


「そんなアホな……」

「錯覚、ちがうん?」

「ふ~ん……」

UFO目撃談は、誰にも信じてもらえなかった。
懐疑的な眼差しを向けられ、茶化されて終わるのだ。

多くの人々は固定観念に縛られ、共通の概念を持っていた。
誰もがふつうで、特異的な体験などしないことを
願っているようにさえ感じたものだ。


予知夢はもとより、
離脱体験やUFO目撃談などは、
うかつに話してはいけない。
とくに身近な人ほど避けた方が無難だ。
家族や友人は私のことを知り尽くしていると
思い込んでいる。
その固定観念は強力すぎて、
彼らにとって理解できる範疇でなければ
気がおさまらないのかもしれない。

それでもテレビや書物に登場する超能力者や、
異人、奇人だと、彼らの観念は一転する。
先入観がないぶん、見聞きした側面だけを
白紙の心にインプットさせるようだ。

その典型的な例は、
医師である夫と家族の関係かもしれない。
有能な医師だとしても、
たいていの父親は家族のオペを避ける。
身内ゆえの動揺もあろうが、
父や、夫の側面しか見せていない家族から、
医術的な信頼は得られないと知っているからだ。

一方、立派な肩書や実績を聞けば、
患者の心にはプラシーボ(偽薬)効果が生まれる。
邪念に惑わされることなく、
医師を信頼するというわけだ。

以来、私は不思議体験を封印した。

といっても、UFOは頻繁に夢に現れた。
円盤型の船がズームアップされ、
窓の形が数字の『9』だと気づく。
毎回、9の形の窓がズームアップされるわけだ。

仕方なく、初めて占い師を訪ねた。

『……あんた、今、最高のこと考えてんの?』

『えっ?…あっ!…ありがとう!』

この短い会話で5千円払ったが、
近未来が予想できた。
金でも、地位でも、名誉でもなく……。
最高の思考で生きるんだろうなぁ、と。




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